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「葛商は私にとって『教師の学校』」と園司征治(社会、竹台高校)が書いているように、創立以来、葛商は若い教員を鍛える学校でもあった。
育てることができる力量ある教員がそろっていたともいえる。この章では3人の元教員に葛商の「教師の学校」としての側面を語ってもらった。
無形の財産●宇佐美恒明(元本校教諭、現商業科嘱託)
本校へは、前任校での12年間の教職経験を経て、昭和49年(1974年)、36歳の時に着任しました。それからの14年間は私にとって教師としての青春時代でした。すばらしい出会いがありました。
初年度から13期(小林学年)、1年おいて17期(小倉学年)、続いて20期生と卒業生を送り出しました。昭和56年(1981年)2月頃だったでしょうか。次年度の校務分掌を決める時が近づいていたある日の、旧校舎時代、朝礼は、しばしば校庭で行われました。集会が終わり、生徒たちが教室に入り始めていたその時、相楽俊幸先生から「宇佐美さん、一緒に学年をやろう」と声をかけられました。
「ハイ、ありがとうございます。キャップは、相楽先生お願いしますよ」というと、大先輩の先生が「宇佐美さんをバックアップします。仲間を集めますよ」。そして、20期が誕生しました。
学年の業績については、昭和59年(1984年)卒業文集『追憶』に集大成されていますが、巻頭言で当時の田中宏平校長が、「いばらの20期生」と題して寄稿されています。
「前に同窓会報で紹介したことであるが、花の20期といういい方を今になってまた思い出した。君たちの1年次に、ある生徒が京成の車中でそう話しているのをきいたときのことである。明るく、さわやかで希望に満ちた声に、私も微笑を禁じえなかった。本当にその名にふさわしい生徒たちであると思った」
と書いておられますが、当時の生徒像が浮かんできます。「いばらの20期」と表現されたのは、ちょうど新校舎の工事が進行中だったために、狭い運動場でクラブ活動にも支障をきたし、卒業式は葛飾公会堂で行われました。また、1つには入学時には思いもよらなかった社会環境の変化による就職難となってきたからです。
▼教師が1つにまとまった
9人の担任団は初担任の杉渕由博(社会)、土屋実(英語)、中年組の百瀬健一(保健体育)、長谷部芳夫(理科)、樋口今朝信(商業)、平井準一郎(英語)、私と同年代紅一点の須藤章(理科)、相楽俊幸(保健体育)という布陣。
須藤先生を除く、酒豪ぞろいのメンバーは毎週のように決まって高砂駅前の赤ちょうちん「はしや」、通称「ばあちゃんの店」の6畳間のちゃぶだいを囲んで身を寄せ合い、教師の悲しい性とでもいうのでしょうか、生徒の話で終始する様は一般の人からみれば、少々異様だったことでしょう。
酔いが回り、声高に議論し合う中から、学級経営、生活指導、行事への取り組みなど肌で感じ、多くを学んだことでした。いつとはなしに、座の進行役は相楽先生で、私はいつも聞き役でしたが、学級経営の基本は環境美化活動にあることを、私は42歳、6巡日の担任にして会得しました。
また、相楽先生の指導のもとに星野裕史先生(国語)が演出に加わり、文化祭にむけて教員演劇や人形劇の練習が夜を徹して行われ、学年・教科・分掌を越えて教師が1つにまとまりました。
こうして多くの相楽塾の門下生が「はしや」に集まり、6畳間はさらに窮屈になりました。
話題沸騰で時を忘れ、飲み潰れて、電車もなくなり、「はしや」の2階で泊まり、そこから翌朝出勤ということも常習化し、その顔ぶれも十指に余るほどでした。
▼転任後も葛商OB会を
そうこうして、無形の財産を身につけた相楽塾生たちは全都に散って行きましたが、私が本校から荒川商業へ転任した年の昭和63年(1988年)12月に、土屋、星野先生らの発案で、うまい酒を飲む会「銘酒会」の初会合が上野の「ほしの」で行われました。
以来、教師として葛商時代に培った教育実践の原点を大切にするこの集まりは、今日まで途切れることなく続き、14回目を数えるに至りました。何ものにも替えがたい信頼と友情は脈々としていまも流れ、その仲間の一人として身をおく幸せに感動せずにはいられません。
ここに、「銘酒会」メンバーを紹介し、さらなる前進を願い、筆を置きます。
相楽俊幸先生。ご退職後、菅平の別荘を本拠地として、ご夫妻で余生を満喫している。人生を2倍おう歌する達人。
土屋実先生。この会の幹事長。先生なくして会の存続はない。銀座界隈の案内で右にでる者はいない。現在は大崎高校。
杉渕由博先生。文京高校。
平井準一郎先生。小石川高校。
百瀬健一先生。足立高校。サッカー東京都代表チーム監督。
新井慎治先生。江戸川高校。国語科。
星野裕史先生。白鴎高校教頭。
中井陽子先生。葛飾野高校。国語科。
中神孝典先生。向島商業教頭要員。商業科。
庄司一也先生。青井高校。保健体育科。
槌田芳夫先生。練馬高校。社会科。
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