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    検定合格率は都内でもトップクラス
  校内のあちこちに花を飾った
    「入口がすごくいいんですね。ゆとりがあって、空間があって、学び舎にふさわしい第一印象を受けました」
  現校長の高橋が第10代校長に就任したのは平成11年(1999年)4月のことだ。葛商では初めての女性校長だった。
  最初に登校した日、正門を入ったところの広場に引きつけられた。中央にケヤキの大樹があり、青年男女立像、ガス灯などが設置されている場所だ。確かに絵になる風景で、「ぜひ写真を撮らせてほしい」と通りすがりの人が撮影の許可を求めにきたことも。
  施設・設備は都立高校のなかでは極めて恵まれている。5階建ての校舎を中心に、体育館、プール、グランドはもちろん、格技室、全天候型グランド、全天候型テニスコートのほか、視聴覚室、簿記室、LL教室、商品実習室、マーケティング実習室、総合実践室、情報処理室など特別教室も充実、抜群の教育環境といってよい。
  高橋が葛商で、まず取り組んだのは、進学しても就職しても困らないように、基本的な生活習慣を身につけさせることだった。そのためにも教育環境が大事だ。
  美化に力を入れるとともに、洗い場にはトポス、階段にはオリヅル蘭と、校内のあちこちに花や植物を飾ることから始めた。入学式、卒業式など式典で使用した花も、終了後は教室に生けるようにした。
  生けるのも、水やりも高橋が自分で引き受けたが、そのうちに、女子生徒が1人、朝登校すると校長室にやってきて、水やりを手伝ってくれるようになった。

  退学率は3パーセント以下
  高橋が着任した頃、商業高校を取り巻く状況は、ますます悪化していた。
  1つは「少子化」がいっそう進み、高校生の数が激減したことで、都立高校の統廃合が具体的な日程にのぼってきたことだ。
  平成8年(1996年)度の中学校卒業生は9万656人、対して平成14年(2002年)度は推計で7万5542人と予想された。わずか6年間で1万5000人少なくなるのだ。1校の定員が平均400人としたら、38校近くの高校が不要になる。どんな名門高校であっても、安閑としてはいられない。
  現に、平成14年(2002年)10月に策定された都教育庁の「都立高校改革推進計画・新たな実施計画」では平成9年(1997年)度の都立高校数208校(全日制)に対して、平成23年度(2011年)は統合、独立校への転換などで180校(全日制)になることが明らかにされた。
  2つは、なかでも商業高校の存在意義が見えなくなりつつあったことだ。大学進学を目的とした高校の階層(ヒエラルヒー)が厳然と存在し、商業高校は、どうしても下位に位置づけられる。「1つには資格取得にカを入れました。特に商業科では簿記3級、情報処理科では情報処理3級の100パーセント合格は死守しましたね。2つには退学率を3パーセント以下に抑えることです。これには学校生活を充実させるしかありません。現在のところ、双方とも、まずまず満足できる成果を収めていると思います」
  と高橋。近年、中退者の増加は深刻な問題になりつつある。なかには年間100人に迫る中退者を出している学校もあるほどだ。葛商の中退者は年間10人を超えない。特筆に値する数字ではないか。

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