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    検定合格率は都内でもトップクラス2
  競技大会でも活躍
    「検定合格率が高いという、うわさを聞いて、葛商を志望しました」と前・生徒会副会長の岩井菜採(3年生)は話す。確かに葛商の検定合格率はズバ抜けて高い。
  葛商の合格率と全国平均合格率(カッコの中)を比べてみよう。簿記3級は99.5%(65.9%)、簿記2級は89.7%(55.7%)、情報処理3級は92.7%(79.4%)、情報処理2級は84.5%(66.9%)、珠算3級は71.4%(34.5%)、珠算2級は70.0%(50.6%)といった具合だ。簿記3級、情報処理3級には1年生のほぼ全員が合格している。
  各種の競技大会でも葛商生は好成績を収めている。岩井も平成14年(2002年)のプログラム競技会東京都予選に団体の一員として出場、団体2位を勝ち取った。
  高い合格率を維持する原動力となつているのは、教員の懸命な指導と、それにこたえる生徒たちのガンバリにほかならない。
「検定試験に合格させたいのは、なにより生徒に自信をつけさせたいからです。1つ資格をとると、自信がつきます。次の課題にチャレンジする意欲も生まれる。教員は本当によくやっていますよ。『普通校へ行ってた方がラクだった』と生徒がこぼすほど、時間をかけています」
 と高橋。試験が近づくと、繰り返し補講が行われる。ウイークデイはもちろん、土日、冬休みも検定試験に向けた勉強が続けられた。もちろん、教員も登校する。
「ともかく先生方は熱心に指導していますし、生徒も、それについてくる。どこの学校を見ても、ここまで徹底してやっている学校はありません。ウチの学校のすごいところだと思います」(杉山浩一郎、理科)
  と他の教科の教員が驚嘆するほどだ。どんなに教員が頑張っても、生徒がついてこなければ何もできない。葛商生たちには不平をいいながらでも、実践する「素直さ」「ひたむきさ」があった。
  葛商生ならではの気質もプラスに働く。人間関係をわずらわしく思わないところだ。図書館司書の松本和子も「葛商生のよさは人なつっこさ」と指摘する。
「教師の方から一方的に教えるだけでなく、教師と生徒の打ち合いができるのが葛商の特長ではないでしょうか」。
と杉山も話す。

  PTAが全面的にバックアップ
  「名前こそPTAになっていますが、実際は保護者会といった方がいいでしょうね」
と話すのは元PTA会長の溝原啓二だ。溝原は葛商の4期生、親子2代にわたって葛商に学んだ。PTA主催の「卒業を祝う会」に教員が1人も出席していないのを見て、職員室に乗り込んだこともある。翌年からは、きちんと出席するようになったそうだ。
  同じく元PTA会長の大島恵子は葛商生を愛することでは人後に落ちない。高砂駅近くに住んでいることもあって、葛商生を見かけると、「おはよう」「頑張ってる?」と気さくに声をかける。
「先生と違って気軽に話せるせいか、葛商生から相談を受けることもありますよ。私にとっては、みんな大事なウチの子どもたちです」
  葛商を中退した大島の息子・勲は「創立40周年記念祝賀会」で見事なダンスを披露した。祝賀会の司会を務めた大島にとっても感無量の思いだったろう。
  PTAの役員たちはOB会の葛翔会(現会長・森井恒雄)を組織、「卒業」しても、なお葛商を後押ししている。40周年記念式典でも役員として現役同様、走り回った。
  「PTA会費をいただいている以上、父母の方々に、それだけの還元をしなければいけないと考えています。学校と保護者のパイプ役であることはもちろん、パソコン教室の開催などを通して、よりいっそう父母の方々に身近なPTAにしていきたいですね」
  平成14年(2002年)度のPTA会長を務める天羽経子は決意を込めて語った。
  一芸に秀でる●井出功孝(第9代校長、東京都教育相談センター相談員)
  新規学校卒業者の就職状況が超氷河期といわれるようになり、葛飾商業高校の卒業生にもその影響が及んでいることは避け得ない現実です。
  しかし、このような時こそ商業の専門科目である簿記会計や情報処理の知識・技能の深化に努め、同世代の高校生より深い知識や高い技能と、さらに自己の将来のあり方、生き方に根ざした勤労観・職業観を身につけて臨むなら、すばらしい結果が実現されることと確信します。
  私の在任中に、上記のような実践を実際に体験することになりました。
  全国商業高等学校協会では簿記会計と情報処理の進んだ学習を振興するため、「全国高等学校簿記コンクール」「全国高等学校プログラム競技大会」などの大会を開催しています。
  「簿記コンクール」は東京大会の団体で上位3校に入らなければ出場できませんが、顧問の加藤・小塩先生の熱心な指導により、見事に優勝して、芝商業、第一商業、村田学園に互して常連校に仲間入りしました。
  「プログラム競技大会」においても、東京都大会の団体で優勝し、全国大会に駒を進めたのは、顧問の稲葉先生の指導によることはいうまでもありません。しかし、この快挙は突然に巡ってきたのではなく、数年前から個人では参加していましたから、全員の平均した力が団体の参加として実現したものだといえます。
  競技大会の参加者が一芸に秀でることは裾野を広げることにつながります。簿記会計と情報処理では1年生を担当する先生が歩調をそろえ、全員に簿記3級と情報処理3級を取得させる取り組みを行ってきました。
  商業科の1年生の全員が商業簿記3級、情報処理科の1年生の全員が情報処理3級に合格することは、どこの学校でもだんだん困難になってきていますが、葛商の先生方は見事に実現しました。
  高等学校改革が実施されている今日、都立商業高校が多く統廃合になっています。少子化と適正配置による施策の要素もありますが、社会の変化に柔軟に対応することも考えなければなりません。旧態のままの商業科だけでなく、葛商が時代の要請に応えて情報処理科を設置し、現在の確固たる地盤を築きましたのも、教職員の真撃な取り組みの反映と思いますので、この校風が伝統として確立することを祈念します。

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