葛飾区南新宿児童館と葛飾商業のつながりは、生徒のボランティア活動を通じて地域の人々との密着を図ることを目的に、平成14年に同窓会が、児童館にパソコンを寄贈し、情報処理科の生徒たちによるパソコン指導がその始まりとなりました。
ご厚誼いただきました仲村清美館長が本年3月に定年退職されることになり、ご挨拶方々、この8年間、外から見た葛飾商業の変貌についてお話を伺ってまいりました。
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▲児童館の子供たちを学校へ招いて行われたパソコン教室 |
1、病んでいた学校が年々健康体になっている。
(仲村館長談)
毎年、体育祭に招待されて生徒の姿を見てきましたが、以前は茶髪や化粧をした女生徒が多く、健康的な若さやハツラツさがなく、男子生徒も精彩をかいていました。
また、体育祭の進行もダラダラと間延びしていました。 人間の体でいえば病んでいる状態でした。
山下敬緯子校長が就任されてから、体育祭を通じて、年ごとに学校が変わっていくのが手に取るようにわかりました。まず、先生方の動きが良くなったりバリバリの先生が目立つようになりました。若い先生が増えて、生徒だけではなく、先生方も変わられました。
生徒が明るく健康的になりました。化粧をしている女生徒もいますが、それは目的があって化粧しているというのが見学者にもわかるので、以前とははっきり違っています。
真面目な生徒が増えたこと、男子生徒が増えたことも目につきました。
今年(平成21年)の体育祭は、進行も間を持たせず、生徒もハツラツとして見事でした。病気だった学校が健康体になったことがハッキリわかります。
2、葛商生は児童の憧れ。
(仲村館長談)
放課後、パソコン指導に生徒さんが児童館に来てくださいますが、児童たちはお兄さん、お姉さんと慕っています。いつかダンス部の女生徒さんが、児童館に「ポスターを貼らせて下さい」といって訪ねてみえましたが、その子がまた、とても素敵な生徒さんで、子供たちの憧れの的になっていましたね。
児童館に通っていた子が(長く見てきた子が)「新宿中学から葛飾商業に行きます」と報告に来てくれますが、涙が出るほど嬉しいです。葛飾商業に進学する子が誇りをもって報告にきてくれる、とても嬉しいですね。
3、私、葛飾商業の出身です。
(仲村館長談)
葛飾商業がどんどん良くなっている。児童館に来てくれる生徒さんや、児童館祭りでの野球部の生徒さんの活躍など、地域の人たちが生徒さんと接する機会が多くなったことは良いことですね。以前は、学校の姿が外の私たちには見えなかったのですが、生徒さんたちが地域に出ることは大きな影響があります。
児童館に来るお母さん方が「実は、私、葛飾商業出身です」と仰るようになりました。それも一人や二人ではないですよ。多くのお母さん方が仰います。以前は、そのようなことはありませんでした。今は卒業生が誇りに思う学校になったんですね。そして、地域に葛飾商業の名前が売れています。
4、「じどうかんまつり」と葛商生の活躍
(提橋・記)
仲村館長が地域のかたがたの支援を受けて「じどうかんまつり」を立ち上げて、昨年10周年を迎えた。今では地域の恒例行事として欠かせないものになっている。
しかし、地域のボランティアの方々も年々高齢化して後片付けが重労働になって大変だったそうです。
ある年から、葛飾商業野球部が後片付けに参じるようになり、今では恒例の事となっている。
「若いってすごいですね」と仲村館長は仰る。「今まで、大変な思いをしていた作業を野球部の生徒さんは、サッサと片付けてしまう。皆さん感謝感激してます」。
「昨年(平成20年)は昼間副校長先生が見えて「今年は野球部が試合があって来られません。代わりにサッカー部が参りますが、慣れていないのでご迷惑をおかけすると思いますがよろしくお願いします」とご挨拶にみえました。
ところが、サッカー部の生徒さんも野球部に負けてないですよ。サッサと片付けてくれました。
若い人たちが「じどうかんまつり」に参加してくれることは勇気を与えてくれます。今年は茶道部の生徒さんが参加してくれました。受付・本部の傍に場所を設置したのです。受付・本部はお年寄りばかりで「老人会じゃあるまし」という雰囲気だったのですが、傍で若い人たちが野点をしてくださって、
それだけで華やかに盛り上がって、おまつりが活気づきました」
私が、おまつり当日に、野球部の練習に立ち寄って、柏原監督に「今日は児童館のあとかたづけですね」と声をかけると、監督は「これから生徒に、何故あとかたづけのお手伝いに行くのか話をするところです。命令すれば彼らは素直にあとかたづけに行くでしょうが、それでは意味がない。その意義をかれらが理解しないといけないので」と言っていたことを仲村館長に話すと・・・「そこまでされるのですか。素晴らしいですね。人間としての教育をされている。すごいですね」と感心されておられました。。
5、商業高校は必要でしょうか
(提橋・記)
最後に、「商業高校は必要でしょうか?」と仲村館長に質問しました。実は東京都では商業高校不用論」があるそうです。そのことを踏まえてご意見を伺いました。
仲村館長は普通高校ご出身だそうですが、お姉さまは商業高校を出られたそうです。館長はお姉さまが羨ましかったそうです。
「商業高校では専門知識を学び資格が取得できて、社会に出てそれを活かすことができます。普通高校で英語やその他いろいろ学んだけれど、社会に出て身についているものが何もないのが現実でしょう。また、児童館から高校に行った子供たちを見ていると、高校で落後する子や問題を起こす子は普通高校に行った子のほうがが多い。商業高校、商業教育は大切だと思いますよ」
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児童館と葛飾商業の交流を通じて8年。学校の努力もあったでしょうが、仲村館長のご配慮によって、地域の方々との交流の場や、ご支援をいただき、生徒が様々な体験を通じて学んだことも少なくありません。例えば、今回「じどうかんまつり」に初参加した茶道部も、地域の人々をおもてなしをした体験が、大きな自信となって、その後の部活動も益々充実したそうです。
東京都の教育方針に「奉仕」の授業が取り入れられ、柴又帝釈天参道の商店街などで奉仕活動が行われておりますか、児童館を通じての活動は、それを先駆けて行われてきた活動です。仲村館長のご尽力の賜物と感謝申し上げます。
仲村館長は平成22年3月に退任されましたが、今後とも葛飾商業のご支援を賜りますようお願い申し上げますとともに、今後のご健勝と益々ご活躍をお祈り申し上げます。長い間ありがとうございました。
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いつも、葛飾商業高校を温かい目で見守ってくださいました仲村館長は、学校運営連絡協議会の委員でもあられました。
委員会での館長の言葉をご紹介させていただきます。
わくわくランドは今年(平成21年9月)で10回目になります。同窓会からパソコンを頂いたときは、パソコン部の生徒さんが毎日のように子供たちに教えに来てくれました。わくわくランドで「パソコンコーナー」を設けたことがありましたが、この時も教えに来てくれました。
最近は野球部が片付けを手伝いにきてくれたり、ダンス部が発表したり、同窓会も関わっていただき、いつも葛商が参加しています。生徒さんは学校やアルバイトなどで多忙だと思いますが当日はいろんな子供たちが3,000人くらい来ます。葛商のチラシを置き、子供たちと遊ぶコーナーを設けて、生徒さん何人でもいいから参加してほしい。子供たちと遊ぶことは楽しいと思うし、子供たちの心に葛商
のお兄さん、お姉さんの印象が残り、葛商のPRになります。
体育祭は毎年見に来ていますが、以前は競技と競技の間が長く何をやっているのか良くわからないという状況でしたが、今年(平成21年6月)はスムーズに運営され競技が進行していました。男子が増えて学校がまともになりました。今年の体育祭は職員の娘さんが葛商に入学したので一緒に見学いたしました。
商業高校の良さはもっと評価されて良いと思います。商業のみが簿記やパソコンの資格がとれます。これは就職に強い。もっともっと商業高校の強みをPRしてほしい。
児童館に高校生(学校に行かない子達)が来てたまり場になることがありますが普通高校の生徒さんです。商業高校の生徒さんはいません。高校から落伍する子は普通高校の生徒さんが多いように思います。
一言つけ加えさせていただければ、葛商の生徒さんに、もとマナーをしっかり身につけさせてほしいと思います。
提案ですが、今度児童館の隣に介護施設ができました。今後介護は重要になり、介護サービスの仕事が増えていきます。資料を見ると介護関係の就職がなさそうですが、こういう職種も生徒に紹介してほしい。
地域に介護施設ができたことでもあり、ボランテア活動にも取り入れていただき、生徒に介護の仕事の体験を通じPRできるようにしていただけたらと思います。 |