(16日、如水館3―2能代商 延長12回) 一瞬の時間のロスも許されない白球のリレー。9、10回と続いたサヨナラ負けになりそうなピンチを、能代商は見事な外野からの中継プレーでしのいだ。
9回裏、如水館の攻撃。1死二塁から相手打者が放った飛球はバックスクリーンへ向かってまっすぐ伸びた。背走した中堅手の吉野海人君(3年)がグラブを差し出すが、届かない。
すぐに球を拾った吉野君が振り返ると、走者は、捕球後のタッチアップのために二塁に戻り、まだベースからわずかにしか離れていなかった。遊撃手の畠山慎平君(2年)は、吉野君と本塁を結ぶ直線上に立ち、中継の態勢に入っていた。「いける」。練習通り、球をわしづかみにしたまま、畠山君へ放り投げた。
畠山君は中堅手の定位置付近にいた。控え投手でもあり、肩の強さに自信がある。「先輩がいい球をつないでくれた。絶対、アウトにする」。思い切り投げた返球は、ワンバウンドで本塁へ。両手で受け止めた平川賢也捕手(2年)が走者をタッチアウトにすると、4万7千人の観客から大歓声が起こった。
10回裏には、2死二塁か右前安打を許す。しかし、山田一貴右翼手(3年)から岳田諒平一塁手(2年)へとボールをつなぎ、またもや生還を阻止。山田君は「中継はかなり練習してきたから、大丈夫だと思っていた」と振り返る。
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能代商―如水館 9回裏如水館1死二塁、浜田の中越え二塁打で、
走者安原が本塁を突くがタッチアウト。捕手平川=関田航撮影
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土壇場で見せた二つのビッグプレー。工藤明監督は「普段から、外野からの返球を中継する、しないの判断をつける練習をしてきた。よく守ってくれた」とほめた。(岡田昇)
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