「高校野球・1回戦、花巻東7-8帝京」(7日、甲子園)
帝京(東東京)が花巻東(岩手)に競り勝ち、初戦を突破した。三度にわたり同点に追いつかれる苦しい試合展開だったが、七回、プロ注目の松本剛内野手(3年)の決勝打で勝ち越し、粘る相手を振り切った。
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7回、松本は右前へ勝ち越しタイムリーを放ちガッツポーズ
しながら一塁へ向かう(撮影・田中靖浩) |
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優勝候補の帝京が、底力を発揮してまれにみる接戦を制した。相手は被災地・岩手代表の花巻東。前田三夫監督(62)は試合前「一生懸命にやろう。一生懸命にやったらいいゲームができる」とナインに声を掛けた。
初回に2点を先制するもなかなかリズムに乗れなかった。148キロ右腕のエース伊藤が、四回途中5失点で降板する誤算もあり、六回までに同点に追いつかれること三回。常にプレッシャーを浴びながらのゲームだった。「伊藤の調子はそんなに悪くなかったけど、相手は打ち返してきた。本当に粘り強かった」と薄氷を踏む思いでつかんだ勝利に安どした。
終盤までもつれた試合にけりをつけたのは4番・松本のバットだった。同点の七回、2死一、三塁で大谷の146キロを右前にはじき返した。7月から行ってきた速球対策が功を奏した。「体感で150キロ」と、本塁から12メートルの至近距離から打撃投手に投げてもらい、目を慣らしてきた。「練習してきたので速いとは感じなかった。うまく打てました」。プロ注目の強打者は、四回の犠飛を含め2打点と持ち前の勝負強さを存分に発揮した。
好投手・大谷を攻略し、前田監督、チームともに節目の夏30勝目を挙げた。「あれだけ速い球にも振り負けなかった。接戦をものにできたことで次につながる」と指揮官。苦しみながらつかんだ勝利を16年ぶりの全国制覇への糧とする。
(2011年8月8日)
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