感謝胸に「全力プレー」 岩手県大会が開幕
待望の舞台、いざ本番 春季高校野球県大会が開幕
第58回春季高校野球県大会の開会式は18日、盛岡市の県営球場で行われ、地区代表28校の選手約560人が19日から始まる熱戦へ決意を新たにした。野球ができる喜びと、地域への感謝。「がんばろう!岩手」の思いを胸に、球児たちが待ち焦がれた晴れ舞台に挑む。
開会式は午後1時にスタート。前回優勝の久慈、準優勝の花巻東に続いて、トーナメント表の順に3年ぶり出場を決めた釜石、同地区対決に臨む盛岡工と盛岡一が登場。初戦で激突する宮古と釜石商工、ともに3年連続出場の山田と大船渡などの沿岸勢も自信に満ちた表情で行進した。
グラウンドに整列すると震災や津波の犠牲者に黙とうをささげた。県高野連の佐々木淳会長(盛岡工校長)は「多くの方の熱意で開会式を迎えることができた。技と力と精神力、そして今大会に懸けるさまざまな思いを込め、全力プレーで応えることを期待する」と選手たちを激励。
久慈東の堀米潤平主将(3年)は「大好きな野球ができる環境に感謝することを忘れず、岩手復興のため勇気と希望、元気を与えられるよう高校生らしく、はつらつとプレーする」と宣誓した。
大会第1日の19日は県営、前沢、東山、花巻の4球場で1回戦12試合を行う。
被災地の代表校、闘志新た
被災した地域の思いを背負って戦う沿岸勢はもちろん、各地区代表校の選手たちは試合に向け闘志を新たにした。
「球場は自分たちにとって神聖な場所。チームそろって来られたのがうれしい」と笑顔を輝かせたのは大船渡の遊撃手金野和希(3年)。「全身全霊を込め、泥くさく一つずつアウトを重ねていく」と気合を入れる。「苦しい状況の中で勝ち上がり、被災地のチーム同士で戦いたい」
前回王者久慈の玉沢優作主将(3年)は「地域の方々から『勇気がほしい』と声を掛けられた。挑戦者として戦い、先輩たちの栄光に続きたい」、岩泉の投手工藤寛智(3年)は「地区予選で敗れたチームの分まで勝ちにいく。いい結果を残して報告したい」と地域と共に戦う決意だ。
内陸の選手たちも特別な思いを抱きながら勝利を目指す。一戸の遊撃手江田和樹(3年)は「沿岸のチームが活動を再開したニュースを見て、野球にかける思いを感じた。沿岸校と対戦してみたいし、ぶつかったら遠慮せずに戦う」と真っ向勝負を誓う。
高田など沿岸勢と練習試合を組んできた盛岡工の主戦藤村隆成(3年)も「試合に勝って相手に『自分たちも頑張ろう』と思わせ元気づけたい」と全力プレーでエールを送るつもりだ。
【写真=東日本大震災の犠牲者に黙とうをささげる選手たち。横断幕にも書かれた「がんばろう!岩手」の思いを胸に試合に臨む】
(2011.5.19)
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