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 2011年 夏の甲子園開幕 福島/相双連合勇気のアーチ
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相双連合勇気のアーチ

初戦コールド負けも諦めず大きな1点

相双連合勇気のアーチ
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相双連合勇気のアーチ 2011年7月15日(金) スポーツニッポン


相双連合 勇気のアーチ…初戦コールド負けも大きな1点



福島大会1回戦 相双連合1―8喜多方 (7月14日 鶴沼)

第93回全国高校野球選手権大会(8月6日から15日間、甲子園)の地方大会は14日、岩手など5大会が開幕し、28大会で230試合が行われた。福島大会では福島第1原発事故の影響で、部員不足に陥った双葉翔陽、富岡、相馬農の3校による「相双連合」が登場。喜多方に7回コールド負けを喫したが、7回に中村公平内野手(富岡3年)のソロで1点を返すなど球場を沸かせた。今センバツ優勝の東海大相模は辛くも初戦を突破した。15日は山形など4大会が開幕する。

 目は真っ赤だが、どの顔も笑っている。コールドで初戦敗退にも相双連合ナインは、爽やかな表情でこの夏を締めくくった。「一人一人が楽しんでやれた。相双連合が一つになれた試合。充実していた。悔いはない」と遠藤主将は振り返った。

 最後の最後で、諦めないことの大切さを体現した一発が飛び出した。スコアは0―8。無安打に抑えられ、コールド負け寸前の7回1死だ。4番・中村が低めの直球を強振すると、ベンチ17人の思いを乗せた滞空時間の長い打球は左翼席へと飛び込んだ。中村は三塁側の応援席へ右腕を高々と突き上げてダイヤモンドを一周。スタンドからは生徒や保護者が一つになった「相双」コールも沸き起こった。「震災でつらいこともあったが、最後に打てて本当にうれしい」と笑顔で振り返った中村は富岡ただ一人の部員。当初は相双連合に入ることをためらったが「富岡の人に恩返しをするためには最後まで野球を続けなければ」と、単身で連合チームへ飛び込み、大きな1点をもぎとって恩返しした。

 苦難を乗り越えた特別な夏だった。原発事故の影響で双葉翔陽は部員が14人と半減した。富岡は7人から1人、相馬農は4人が2人となった。双葉翔陽単独での出場も可能だったが、福島県沿岸部北部に位置する相双地区のライバル校でもある富岡と相馬農に合同チームでの大会参加を呼びかけて「相双連合」が誕生した。初練習は5月29日。練習は毎週土曜の計7度しかできなかった。それでも服部芳裕監督は「限られた中でも何かはできる。勝ち負けは別にして全部を出してくれた。本当にありがとう」とねぎらいの言葉をかけてナインと握手を交わした。

 決して諦めない。ナインが最後に見せた粘りと試合後にこぼした笑顔は、被災地に大きな希望と勇気を届けた。

 ≪相双連合の大会出場まで≫5月27日に双葉翔陽14人、富岡1人、相馬農3人の3校で県史上初の合同チームで夏の大会に出場することを県高野連に申請。同29日には小野高グラウンドで15人が参加し、5時間にわたって初練習を行った。6月1日に日本高野連が大会参加を正式に承認。同23日の組み合わせ抽選で喜多方との対戦が決定。試合に勝利した際は大会歌「栄冠は君に輝く」を斉唱することも決まった。同25日に試合で着用する統一の帽子が完成。7月2日に高萩清松(茨城)と行った初の練習試合では1試合目こそ2―5で敗れたが、2試合目は7―6で競り勝った。

 ▼喜多方・栗城一郎監督 試合前、ナインには相双連合は震災で苦労してここまでやってきたのだから敬意を払ってやりなさいと言った。7回の本塁打や粘りを目の当たりにして、野球の神様が下りてきたのかなと感じた。試合後には千羽鶴もいただいたので、相双連合の思いを背負って戦っていきたい。
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[ 2011年7月15日 06:00 ]

対戦した喜多方の選手に千羽鶴を託す相双連合の遠藤剛司主将(中央)
と中村公平選手(左)
対戦した喜多方の選手に千羽鶴を託す相双連合の遠藤剛司主将(中央)と中村公平選手(左)

米紙も福島3高校「相双連合」に注目 「希望の象徴になった」

2011.7.13 14:52

 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は12日、福島第1原発事故の影響で野球部員が足りなくなった福島県の3高校が結成した「相双連合」の奮闘ぶりを紹介した。「心温まるストーリーを求めている国で、彼らは希望の象徴になった」としている。

 記事は「移転生活を余儀なくされている3校が、夢を追うためチームをつくった」と説明した。

 部員たちについて「普通の選手のように練習している。だが普通の選手ではない。富岡高、相馬農高、双葉翔陽高の少年たちの何人かは家族、友人や家を失っているのだ」とし「野球や他の運動選手の日本的な価値である、無私の心と不動の献身を示し続けてきた」とたたえた。

(共同)



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