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遊撃で打球を処理する原町の福島雄飛主将=あづま |
(21日、原町7―1いわき総合) 「ここで終わるわけにはいかない。最終ゴールは甲子園です」。快勝した原町の福島雄飛主将は試合後、浮かれる風なく話した。
3点を先取した3回。さらに2死一、二塁。内角低めの速球を左越えに適時二塁打し、流れを決める4、5点目を入れた。9回にも左前安打。だが、自らのことよりもコメントはチームの反省点ばかり。「次の課題は2死からの残塁を少なくすることと、内野の送球ミスをなくすこと」
震災後、新潟に避難した。「野球をやっていいのか」と悩んだ時、テレビで春の選抜高校野球の選手宣誓を見た。「震災に直接関係ない人がこんなに考えてくれてる」。うれしさと悔しさがこみ上げた。「また野球やりたい」。「甲子園をあきらめているやついる?」と部員全員にメールを送ったことも。「絶対に行くぞ」。次々と返信がきた。
5月からはサテライト先の相馬や新地のグラウンドなどを借りて本格的な練習を再開した。津波で家を流された部員もいる。だが、グラウンドでは「被災した、と意識しないよう」に被災の話はしないと決めた。
3年生とマネジャーを除くと部員は2年生3人、1年生はいない。「自分たちが甲子園で感動を与えるプレーをすれば、必然的に人が集まる」。部員全員の思いを、福島がこの日も代弁した。(福宮智代)
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