■全国トップを目指す監督なら、みんな2回戦登場を願う。
ある甲子園常連校の監督はこう話す。
「1つ2つ勝つことを目標にしているチームなら抽選は気にしないでしょう。でも、全国のトップを意識し始めたら抽選にこだわらない方がおかしいですよ。強豪校の監督は、みんな口には出さなくても2回戦からの山に入りたいと思っているんじゃないですか」
聖光学院も、花巻東も、夏を戦い抜く過酷さは嫌というほど味わっている。
'09年夏、花巻東は、準々決勝でエースの菊池が腰の疲労骨折を悪化させリタイヤ。続く準決勝で敗退している。
昨年夏は聖光学院も2年生エース、歳内宏明が3回戦で右手中指の爪をはがしてしまい、本来の投球ができずに敗れている。
両投手とも甲子園ではじめて傷ついたわけではない。地方大会からすでにその兆候はあったのだ。
夏は、各地方大会での疲労を蓄積したまま、甲子園での戦いに臨まなければならない。そのため、特に投手の場合は、1戦でも少ないに越したことはないのだ。
■ここ10年間で決勝進出チームの40%が2回戦登場組。
「2回戦登場」組の優勢は、数字からも読み取れる。
ここ10年、決勝進出チーム20校の内、8校が「2回戦登場」チームである。40パーセントの確率で最後の2チームに残っている。「2回戦登場」チームの割合を考えれば、負担減の効果が現れているといっていいだろう。
ただし、優勝チームとなると、'04年、'05年と連覇を達成した駒大苫小牧しかないというのも不思議だ。「2回戦登場」組は、こと決勝戦に限ると圧倒的に分が悪いのだ。
原因は2つ考えられる。
1つ目は、近年でいえば、'08年の大阪桐蔭や'09年の中京大中京のように、6試合戦ったとしても、それを感じさせないような巨大な戦力を有していたということ。
2つ目は、疲労というマイナス面よりも、経験というプラス面が優るケースだ。その典型例が'06年の早実と、'07年の佐賀北である。
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