「高校野球・１回戦、花巻東７-８帝京」（７日、甲子園）

ナインを盛り上げる花巻東・佐々木毅（中央）＝撮影・田中靖浩

　おじいちゃんは必ず見に来てくれている。出番はなかったけど、よく頑張ったと言ってくれているんじゃないかな‐。

　花巻東の控え投手・佐々木毅は登板機会こそなかったが、試合中は同級生のエース・大谷に声をかけて励ました。

　東日本大震災の津波で、祖父・三男（みつお）さん（７６）が行方不明に。野球好きな祖父は、よくキャッチボールをしてくれた。高校進学の際、自身は強豪私学の花巻東進学を志望したが、両親は経済事情から地元の公立進学を望んでいた。そのとき祖父が「行きたい学校へ行かせてやりなさい」と両親を説得。学費の援助もしてくれた。

　「去年、甲子園に出られず帰省した時、おじいちゃんに『来年は出るから』と約束した。勝って天国で喜んでもらえたら良かったんですが。来年も必ず戻ってきて日本一になりたい」

　震災の影響で父・健さん（４３）が一時的に職を失った。野球を続けるべきか悩んだが、チームメートの励ましを受け、辞めずに続けてきた。「震災があって、そこから絆が深まった」。おじいちゃんのおかげで甲子園に出られたし、最高の仲間とも出会えたよ‐。

(２０１１年８月８日)

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